『キル・ビル Vol.1』

キル・ビル Vol.1

ひとりの女が長い昏睡状態から奇跡的に目覚める。女の名は“ザ・ブライド”。かつて、世界中を震撼させた暗殺集団の中にあって最強と謳われたエージェント。5年前、彼女は自分の結婚式の真っ只中に、かつてのボス“ビル”の襲撃に遭い、愛する夫とお腹の子どもを殺された上、自らも撃たれて死の淵をさまよった。いま、目覚めた彼女の頭の中はビルに対する激しい怒りに満たされていた。ビルに復讐することだけが彼女の使命であり運命となった。復讐の鬼と化したザ・ブライドは、自分の幸せを奪った者すべてを血祭りに上げるため、たったひとりで闘いの旅へと向かうのだった……

レザボア・ドッグス』等のクエンティン・タランティーノ監督作品。殺し屋ビルにすべてを奪われた孤高の女アサシン“ザ・ブライド”が、ついカッとなってやってしまい今は反省しているビルをその弟子ともども皆殺しにしてしまうまでを描く2部作の第1作目。

タランティーノが好きなものを、これまたタランティーノ大好きの「カンフー映画」の定番「復讐劇」というストーリィ・ライン上に全部袋詰めにして置いたような映画。その内容的な偏りと充実ぶりは圧巻と呼ぶにふさわしい。なまじカンフー映画を観た人間ならば、にやりとせずにはおれないその絶妙なレディ・メイド・テイストといい、「それはともかく」と締めくくられてしまうプロダクションI.G.によるJAPANESE ANIMEパートの質の高さといい、R-15指定を受けるほどに身体がもぞ痒くなるような血の噴水満載な残虐描写バリバリのアクションといい、そんな中挿入されるどーでもいいコメディ・シーンといい、一見ミョウチキリンな味わいだが、そのクセの強さが観ているうちにその総てが異様な快感となってしまう。まさに珍味! 

深作欣二に捧げられただけある、腕が飛ぶわ脚が飛ぶわ首が飛ぶわの怒涛の大乱闘シーンも大好きだが、クライマックスのルーシー・リュー演じるオーレン石井との決闘シーンのカメラ・ワークは見事。21世紀になって、あんな“引き”ショットのアクション・シーンを観るなんて思ってもみなかった。

香港にしか見えない東京の空撮シーンには驚いたが(もちろん確信犯だろう)、オーレン石井の台詞をはじめ、出てくる日本人がちゃんと日本語を喋っているのがニクい演出だ。しかし、ここから後は大事なことなので英語で書こう。"The point is....This movie is fuckin'good!"


詳細『キル・ビル Vol.1
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=240563