『シャイニング』

冬の間閉鎖されるホテルに、作家志望のジャック一家が管理人としてやってきた。そのホテルでは過去に、管理人が家族を惨殺するという事件が起こっていたのだが……

ロンドン王立大学の研究チームによると、数学的計算による世界最高のホラー映画であるという、スティーヴン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督作品。幾何学的でシンメトリックな構図を多用した硬質なカメラ・ワークと編集、そこに挿入されるサブミニナル、耳障りな不協和音を用いた楽曲、寒々しい閉鎖空間でのジャック・ニコルコソンの発狂寸前の怪演が何ともこう、神経にキリキリと来て恐ろしい。

ホラーというので、もっとスプラッタ的で暗い画面を最初想像していたのだけれど、全然真逆で、ずっと画面が明るいので意表を突かれた。だからこそ、舞台となるホテルの絶妙な間取り(無駄に広いロビィ、入り組んだ廊下、庭に併設された巨大な植木迷路)を利用した不穏で孤独な雰囲気、コト在るごとに映りこむ「赤い」造形物が映える(『2001年宇宙の旅』もそうだったな、そういえば)。

ラスト・シーンに画面に映る写真の年号は、やはり足してみよ、ということなのだろうかしら。


詳細『シャイニング』
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=10248#1