『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!』

首都ロンドンで日夜市民の安全を守り続ける勤勉な警察官、ニコラス・エンジェル巡査。その活躍ぶりは誰もが認めるところ。しかし、あまりにも優秀すぎるがゆえに同僚たちの反感を買い、ついにはのどかな田舎町サンドフォードの警察署に左遷されてしまう。事件らしい事件も起こらず途方に暮れるニコラス。おまけに、無理やり組まされた相棒のダニーは脳天気な上に無類の警察映画オタクで、映画と現実を混同してはニコラスを辟易させる。そんな中、突然彼らの周囲で明らかに不審な死が相次いで発生する。ところが町の人々は事故だと言って心配する様子もない。仕方なく、単独で捜査を進めるニコラスだったが……

クスクスと思わず含み笑いを漏らしてしまうようなコメディ・タッチで始まる前半、そのスタイリッシュでテンポの良い編集とそのストーリィ内容とのギャップが余計に楽しいのだが、このまま主人公ニコラスに巻き起こる田舎での珍道中を描いてゆくのかと思ったら騒然。目の覚めるようなスプラッタ描写が突然差し挟まれ、あれよあれよという間に『ウィッカーマン』ばりの閉鎖的な村でのサスペンス・ホラーテイストにシフト。村の暗部が解き明かされるとき、物語は怒涛のガン・アクションへと雪崩れ込む! 二転三転するとはこの事、この間観た『フロム・ダスク・ティル・ドーン』ばりの方向転換が楽しい。

ドタバタ・コメディ演出を貫き通しつつも、そのアクションへの比重の重さ、そしてキャラクタ描写の巧みさ素晴らしい。クライマックス、閑静な村の中でありえない連中とガンガン銃をぶっ放すミスマッチをおもしろさに変換するのは、力技と言えばそうだが、前半での助走が効いていて、見ている最中かなり胸躍る経験をさせてもらった。色々なジャンルをゴタ混ぜにして尚、それぞれ抜かりのない演出が最高だ。コメディとしても、サスペンス・ホラーとしても、アクションとしても楽しめる、三色そぼろ丼的な傑作。

しかし、DVDの字幕のズレはどーにかならないか? メーカによると「仕様なんで仕様がない」らしいんだけれど、そんなレベルじゃないよ。海賊版でもここまでズレんよ!


詳細『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!』
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=330464#1