『リボルバー』など

  • リボルバー…脚本を織り込みすぎて、逆にきれいに開けなくなってしまったかのごとき映画。様々な憶測を呼びおこす演出や脚本上の付箋、思わせぶりなカメラワークなどを連発しているが、それの3割も回収されずに終わってしまう。ただ、暗殺者のオッサンのクールさは尋常じゃない。
  • 『コーヒー・アンド・シガレット』…『ナイト・オン・ザ・プラネット』などのジャームッシュ監督の短篇オムニバス。観ると、コーヒーが飲みたくなるのは必至。人間の観察眼に優れた、どこか不思議なユーモアとペーソスに溢れた作風は流石。モノクロ作品だからこそのコーヒーと煙草──その紫煙の見え方、コントラストの美しさが素晴らしい。
  • ミラクル7号…チャウ・シンチーは実に観客のツボを心得ている作家だと思う。映像や脚本、キャラクターの立て方や配置など、いい意味で懐古趣味に溢れており、その懐かしさとVFX技術の融合のバランス感覚は見事。『少林サッカー』『カンフー・ハッスル』のような派手さはないが、地味ながらも秀作。ただ、代替の可能性を見せてしまったラスト・シーンは蛇足だったか。