『ピーウィーの大冒険』など

  • ピーウィーの大冒険』ティム・バートンの長編初監督作品。連作短篇シリーズを1本にまとめ上げたような感じ(『モンティパイソン・アンド・ナウ』的な)だが、その奇抜さやドタバタと騒がしい感じが、次作『ビートルジュース』に繋がってゆくのだろう。バートンの映画偏愛もちらほらと見られて楽しいし、ゴジラ・ファンにも嬉しい1本だ。
  • イエスマン “YES”は人生のパスワード』…すべての答えを「ノー」から「イエス」に変えたことで人生が一変する男を描いた、ジム・キャリー主演のヒューマン・コメディ。やはりキャリーはコメディアンとしての才に溢れている俳優だ。内容としては、自己啓発カルトすれすれの内容だが、堅実なつくり方でそれを嫌味なく見させてくれるのは流石ではまり役と言える。相手役を演じたゾーイ・デシャネルも素敵に魅力的だ。ラスト・シーンはかなり毒があって、なかなか良かった。

ただ、如何せん脚本に問題が残る。以前のヴァン・ダム版(1994)で一番の問題だったキャラクターの多すぎさを踏まえ、春麗やベガなど少数に絞ったまではたしかに良い判断だとは思う。が、明らかに胸元を強調する女刑事とマヌケなインターポール捜査官を出してみたり、春麗や他のキャラクターに新たな設定──春麗(ゲームでは女捜査官)はピアニスト(!)──を加えてみたりして、ストーリーに特色を出してみようとしているのは判るのだが、いまいち変化球に過ぎて成功していない。観客が見たいのはあくまで春麗の華麗なアクションであり、特殊部隊やインターポールのちんけなそれではない。本来描くべきものをもっと主眼に入れた、もう少し直球勝負の脚本だったら、この映画はきっと傑作になったに違いない。