2012年鑑賞映画作品/1-30(+TVアニメ)感想リスト

先日、6年間使用したノートパソコンが逝去された。仕方がないのでPCを新調──さよならXP、よろしくセヴン。でも、MIDI関連の貧弱さはあんまりだと思うんだ。

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宇宙人ポール』●……記事参照>>http://d.hatena.ne.jp/MasakiTSU/20120128/1327767782
『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』●……ピクサー畑のブラッド・バードだけあって、画面レイアウトが秀逸で、前作のように意味もなく揺れなかったので、もうそれだけでOKって言いたくなる。現在においてフィクション内における米ソ冷戦構造を再構築したアイディアも面白い。ただちょっと尺が長すぎる嫌いはあった。
『チョコレート・ソルジャー』……年末に観た『パーフェクト・スナイパー』もこれと同じくタイにおける人身売買問題を扱った映画だったが、毛色がまったく異なるトンデモ映画だった。ジー・ジャーのアクションもすごいのだろうけど、カメラワークがひどくてあまりノレないし、なにより脚本がお粗末過ぎる。タイのアクション映画界に必要なのは、まともな脚本家だと思う。
『馬と呼ばれた男』……リチャード・ハリス主演。インディアンにつかまった主人公が、半ば生き残るためにインディアン社会に帰依してゆくという物語だが、主人公がその白人性とインディアン性への理解のあいだで揺れ動く様が非常にゴタゴタしており、非常に奇妙な鑑賞感をもたらす。
『リアル スティール』●……拾ってきたポンコツロボットATOMを文字通り鏡に映った自分の姿として、お互いに自身の中に問題を抱えた父子が再生してゆく物語。前述のロボットが持つ物語内でのギミックが本当にすばらしい。控えめながらも、SF観を具現化した美術デザインも秀逸。
薔薇の名前』●……何かの書籍でマクガフィンの好例として取り上げられていた覚えがあるが、その書籍の名前を忘れてしまった(ジジェクあたりだろうとは思うのだけど)。ゴシック調の重苦しい映像がすばらしい。クリスチャン・スレーターが若い!
スコット・ピルグリムVS.邪悪なモト彼軍団』……よく言われるように映像に施された擬音符表現だとか、ゲームネタだとかは楽しい。ただ主人公がどう考えても阿呆なM○ther f--kerなので、どうも楽しめなかった。価値観の差だといわれればそれまでだけど。
『スペース・カウボーイ』……本作に観られるある種極限までシンプルで感情的抑揚の少ない編集リズムは、人生の最盛期は過ぎて脂は落ちてしまったけれども、それでも芯は何も変わっていないという主人公の老人たちのようだ。だからこそ、誇大ではない静かな感動が本作には詰まっているのだ。
『モンスターズ-地球外生命体-』……ポスト『クローバーフィールド』的な怪獣映画というか、怪獣災害の周縁だけを淡々と見せてゆくという意味、また怪獣を生物として描くという意味では、こちらのほうが成功していると思う。これで主人公の人物造型がもう少しまともなら、もっと素直に楽しめたろう。
ヒア アフター』……ふつうの物語ならプロローグにあたるであろう部分ですら、ここまで感動的な逸話に仕立て上げられるのか! と毎度ながらイーストウッドの手腕に脱帽。出会うべき人物に出会えたときの幸せをかみ締めたい。マット・デイモンももっさり感も最高。
10



ブラック・スワン』……『レスラー』姉妹編。現実かそれとも妄想か──その境目のあいまいさ表現はさすが、といった感じで、とくに鏡を使ったギミックの気持ち悪さは特筆ものだろう。まあ、アロノフスキー監督の相変わらずのミソジニスト的演出爆発なので、好きなタイプの映画じゃないのだけど。
『テオ・オン・テオ』……亡くなった直後に知人と鑑賞。おいおい実際の作品も機会があれば見てゆきたい。
イリュージョニスト』……ほぼサイレント映画に近いアニメーション作品。なにかが確実に変化してゆく様を切り取った映像と編集が素晴らしい。また、主人公の老人が聞き取れる英語だけが英語に聞こえるという音の演出も面白かった。
『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』……イーストウッド監督作品。硫黄島シリーズもそうだったが、戦闘を描く戦争映画ではないところが共感を持てるというか、ぶれないところがすごい。
シングルマン』……ファッション・デザイナーがファッション(外面)をどんどん剥ぎ取って本来の自身を取り戻してゆく主人公を描いたというのが興味深い。彩度を用いた映像演出が面白い。
キャノンボール』……皆が皆バカやった後のエンディングの清々しさが良い。ロジャー・ムーアよく出てくれたな。
パッセンジャーズ』……同時期公開に似たようなテーマを扱った『ステイ』があったけど、この手の(ネタバレになるので深くは書かないが、ある種の)“自分探し”映画がその頃流行ったのかしら?
トゥルー・グリット』……本当にコーエン兄弟か? というくらいに“普通”に面白い。この映画の語り手は誰か、誰がこの物語を継承するのか、ということを考えて観れば、非常に胸が熱くなる傑作だ。
バニラ・スカイ』……オリジナル版は『アザーズ』とかを撮った監督作品だったことを知って納得。冒頭から左右など両者択一を迫るような演出をしてあって面白い(だから冒頭映る映画が『麗しのサブリナ』なのだろう)。
『ホワイト・アウト』(ケイト・ベッキンセール主演)……織田裕二は出ない。犯人は誰かというサスペンス部分がどうしても弱くなってしまう構成が残念だけど、猛吹雪の中のアクションシーンとベッキンセールの画になりっぷりは十分見所だと思う。
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『TIME/タイム』●……記事参照>>http://d.hatena.ne.jp/MasakiTSU/20120301/1330616607
『デッド・ゾーン』……スティーヴン・キング原作。ちょっとテンポがゴテゴテしてたけど、主人公の選択と結果の様はかっこいい。
『パニック・イン・スタジアム』……災害モノの文法をアクション映画のストーリーに組み込んでいるのが面白く、クライマックスの大殺戮&群集パニックシーンは必見のすばらしさ。犯人の顔とかを最後まで明かさなかったら、もっと鬼気迫ったんじゃないかと思う。
『メカニック』……ステイサム主演版。師弟関係の描き方が良かった。弟子を1人前と認めた瞬間に見せるステイサムの切ない表情がたまりません。
3時10分、決断のとき』……傑作。理屈を超えたところで生じる男と男のバディ感は、熱くならざるを得ない。
『ハンナ』……アクション映画というより、無垢な少女(S・ローナン)が見知らぬ世間を渡りつつ、グレートマザーを倒し、初潮を迎えて“女”になっていく過程を寓話的に描いた映画(劇中やたらと援用される『赤ずきんちゃん』はいわずもがな、『不思議の国のアリス』も入っているかな)。ケイト・ブランシェットの「母親」的な表情の数々が素晴らしい。
シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』●……記事参照>>http://d.hatena.ne.jp/MasakiTSU/20120316/1331923101
『えじき』……雰囲気とか、クリーチャーのデザインとかは良かったが、いくらなんでもモタモタし過ぎ。同時進行の場面運びが下手すぎるよ。
『ネスト』……思春期の女の子を育てるのってマジ大変だわー、というシングル・ファザーのボヤキを見事にホラー映画に仕立て上げた一品。画面の隅っこでなにかが蠢いている感じの演出が素晴らしい。
アメリカン・ニューシネマ-反逆のハリウッド史-』……まだまだ知らない面白そうな映画がいっぱいあることを学んだ。町山智浩氏のブックレット解説も勉強になる。
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+TVアニメ
けいおん!!』……1期に引き続いて鑑賞。アニメーション的な動きの快感や、端々に見られる抑制の効いた泣かせの演出などはやっぱり巧いなァと思いつつも、さすがに1年間を2クールかけて描くのは、1期(2年間を1クール)に比べるとどうして間延びして愚鈍な感じが否めない。ついでに、平沢唯はちょっと甘やかされすぎで、演出的に行き過ぎていると思われる。でも、秋山澪が可愛い。

世紀末オカルト学院』……キャラクター・デザインの画風が好みだったので、前々から気になっていたのを、えいやと一気見する。舞台となる1999年前後に少年時代を過ごし、『特命リサーチ200X』などに随分お世話になっていた僕としては、使われているネタだけでも大好物で、たいへん楽しんで観れた。主人公のひとりである内田文明だけ、あの画風とそのほかのキャラクターと比べて珍妙な髪型のデザインがされているなぁと思っていたら、なるほど彼の髪型は鉄腕アトム的な聖痕だったのだな、と最終回にて納得。あと、神代マヤが可愛い。