2012年鑑賞映画作品/31-40 感想リスト

『ナインス・ゲート』……ポランスキー監督。数年前に亡くなってしまった友人が大変好みそうな映画だった。面白かったけれど、ヒロインのある演出はネタバレが過ぎて、そこだけ興ざめなのが残念。
『イップ・マン-序章-』……ブルース・リーの師匠としても知られる詠春拳の使い手イップ・マンの人生を題材に取ったアクション。映画全体のまとまりとしては少し荒々しいが、アクションの組み立て方や見せ方がたいへん巧い。ドニー・イェンの流れるようなアクションが美しい。
『イップ・マン-葉問-』……『序章』に続く第2章。こちらもとにかくアクション・シーンの構築が素晴らしい。ドニー・イェンサモ・ハン・キンポーの手合わせシーンをはじめ、ワイヤー・アクションなどをバランスよく組み込んだアクションが目白押しで楽しい。
『情婦』……ビリー・ワイルダー監督。有名なラストの2段落としもすごかったけれど、やはりワイルダーといえば、挟み込まれるギャグの数々が素晴らしい。かといって、それが過度な笑いに走らないそのバランス感覚には恐れ入る。
フランケンシュタイン』1931……メアリー・シェリーの小説からはだいぶ翻案されているので、その辺が興味深かった。物語に現れる数々のアイテムや要素はむしろ、サルバンデスの『ドン・キホーテ』を髣髴とさせる。エンディングの不穏さが恐ろしい。
ワイルド・スピード MEGA MAX』……ケイパーものへのシフトチェンジを感じさせるシリーズ最新作。なるべく実写で挑んだアクション・シーンが楽しい(もう少しロング・ショットを挟んでほしかったけど)。ただちょっと尺が長すぎるのが難点(90分ならなあ!)。
かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』……香港漫画の実写化作品。お話は荒いし中だるみも激しいが、ドニー・イェンニコラス・ツェーらのアクションが、実写版DBかくあるべしといった感じにたいへん素晴らしくキモチいい(『イップ・マン』の監督だったのね)。
『ストーカー』……タルコフスキー監督作品。物語自体は難解だが、撮影や編集などが美しく、総じて面白かった。やっかい。押井守『アヴァロン』における色調変化は、これが元ネタのひとつなのだろうなぁ。
十二人の怒れる男』……シドニー・ルメット監督の室内劇。法廷サスペンス、また室内劇の傑作として、脚本面で非常に評価されているだけに、台詞回しや構成、またその状況や各人の設定などはやはりたいへん素晴らしく、息を呑んだ。それらを的確に映したカメラワークも巧い。
サンセット大通り』……主人公の母胎回帰願望が悲劇的/皮肉めいて叶うというストーリーかなと。過去の名声に生きる往年の大女優を演じたグロリア・スワンソンの鬼気迫る演技が素晴らしい。
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