早いもので、もう今年もおしまいになりますね。この1年は、ものの見事に気が抜けて、まとまった文章を書く気力が巻き起こりませんでした。なにゆえか。
というわけで、気まぐれも気まぐれに X(旧 Twitter)にてポストした映画の超短評を備忘録として、以下にまとめております。
それでは皆様、よいお年を。
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◆跳ねっ返り空軍パイロットのチョン・テフンの活躍を描く『リターン・トゥ・ベース』(キム・ドンウォン監督、2012)は、本作それ自体が韓国映画過去作のリメイクであることも然ることながら、いかにもトニー・スコットの作風をよくよく研究していることに感動した。面白かったです。
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◆故郷を奪われた猿の青年ノアが仲間を救うため冒険に出る『猿の惑星/キングダム』(ウェス・ボール監督、2024)は、目を見張る映像で描かれる王道物語と高低差を活かした猿アクション、皮肉を込めた世界観が楽しめる。また、ここに来て旧シリーズへのリンクをそこかしこに貼り出したことも興味深い。
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◆『THE KILLER/暗殺者』(チェ・ジェフン監督、2022)は、『アジョシ』『ジョン・ウィック』『イコライザー』『アトミック・ブロンド』『96時間』(+タネ元)にガン=カタ、ジャッキー・チェンなど「やりたいこと」全部載せ──それで主軸が若干ブレた感はあるが、それも込みで──、とても可愛らしい作品だった。
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◆ジャッキー・チェン主演最新作『ライド・オン』(ラリー・ヤン監督、2023)は、物語の筋立てはともかく、構成や見せ方がユルくて空中分解寸前だが、ジャッキーが元気に動き回る姿と石丸博也(限定復帰)の吹替えが楽しく、隙あらば小ネタを──ときにシリアスなシーンでさえ──詰め込むサービス精神も可愛らしい。
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◆東京都三軒茶屋にあるスタジオにて頻発する怪奇現象に迫るドキュメンタリー『三茶のポルターガイスト』(後藤剛監督、2022)は、たしかに終盤巻き起こる怪奇現象を捉えた映像には半信半疑ながらも驚愕。これが本当に真実ならコトだろう。
ただ、このクライマックスへの布石というか、状況説明が本作だけではいささか不十分──本作公開以前より YouTube上などで様々なチャンネルがアップした動画群を見ていること前提──なので、1作の映画作品としての構成はブキッチョな感は否めない。序盤のくだりはあまりに関係があるんだかないんだかであるし、中盤の検証シーンでは「なにを検証しているのか」と、戸惑ってしまった。
とはいえ僕はといえば、これをきっかけに本作関連の動画をあれこれと見漁ってしまったので、この全体的なムーブメント自体はしっかり楽しんでしまった。
追記)あれからしばらく経って、「まぁどっちでもええか」という心境に相成りましたとさ。
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◆藤本タツキ原作『ルックバック』(押山清高監督、2024)は、演出や作画といったアニメーション映画としての質の高さはもちろんのこと、同原作の漫画『さよなら絵梨』(2022)がそうであったように、作品の扱う題材と作品自体のメディアが異なることで、より奥深く本質的な部分に迫るようで興味深い。
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◆過酷な植民惑星労働から脱出すべく貨物船に忍び込んだ若者たちを襲う恐怖を描く『エイリアン: ロムルス』(フェデ・アルバデス監督、2024)は、米粒ひとつ残さぬ勢いでシリーズ各作品の面白さを総復習しつつ、現在の技術による新鮮な見せ場もきちんとあって面白く、本作からでも観易い理想的な続篇。
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◆逝去した特殊造形家の孫娘が、不思議な島に迷い込む『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』(村瀬継蔵総監督、2024)は、ドラマ部分の舌足らずさは否めないが、監督の実人生を踏襲したネタの数々、なにより造形物として実在する怪獣がミニチュアを破壊するという特撮ならではの快楽はたいへん気持ちいい。
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◆不勉強ながら未見だった『遊星よりの物体X』(クリスティアン・ナイビイ、ハワード・ホークス監督、1951)をやっとで観ました。端的に超おもしろい。映像で見せすぎずに状況を伝える演出や、素っ気なく不意に現れる怪人の恐ろしさたるや。また、様々な映画のタネ元を知れて、たいへん勉強になった。
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◆そういえば観ていなかったなァと思って、例によって映像はよさそうだけれど、たいして面白くはないだろうと予想されるCG長編アニメーション・シリーズの新作『バイオハザード デスアイランド』(羽住英一郎監督、2023)を観ました。たいして面白くなかったうえに、もろもろヘタクソでした。アッチョンブリケです。
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