『ローズ・レッド』

『ローズ・レッド』

大学で超常現象を研究しているジョイス。彼女は、今は眠っている幽霊屋敷<ローズ・レッド>を再び呼び覚まし、自身の研究にしようと、6人の能力者を集わせる。その屋敷では、建造当初から謎の事故死や失踪事件が相次ぎ、さらには自らの意志で自身を増改築し、成長しているというのだ。ジョイスら一行は、今その禁断の扉を開けようとしていた……

自己増殖を続けるという幽霊屋敷<ローズ・レッド>で巻き起こる恐怖の現象を描いた、天才作家スティーヴン・キング製作総指揮/脚本のホラーTVM。いわゆる洋館ホラーである。テレビという媒体の性質上か、ホラーあるいはスプラッタ的な描写は息を潜めずいぶんマイルドになっているものの、そこはやはりキングらしく、その極限的な状況下におけるキャラクタ同士の人間模様の変化と因果を主軸に描いている(アイロニックな結末も味わい深い)。小生のようにホラーが苦手な方も普通に観られる作品だろう。

印象的なのは、キャスティングが目を見張るほど作品の雰囲気に合致していていること。特殊能力ゆえに自閉気味で家に閉じこもって生きてきた少女アニーの、その人生を感じさせる体格といい、幽霊屋敷で現在も“務める”メイドといい、とかくリアリスティックで印象に残る見事な伽スティングだ(しかし、カメオ出演しているスティーヴン・キング本人が一番“濃厚”だったのだが、これは確かめていただくしかない)。

しかし、長い! こっちの字でもいい、永い! 尺が全部で4時間以上(254分)もあるのだ(DVDでは2枚分割)。主人公たちが件の幽霊屋敷<ローズ・レッド>に出発するのに1時間以上かかるのだ。そのくせ中盤では所々描写の抜け落ちが見られ、少々混乱させられ、いわゆる中だるみも少なからずある。おそらくは小説的なシーン展開のリズムの為だったのだろうが、2時間とはいわない、せめて3時間にまとめてほしかった。そうすれば、よりすっきりとした作品になっただろう。


詳細『ローズ・レッド』
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=239533#1