【備忘録】映画の好きな悪役10選(順不同)

ちょっとばかし前、大学時代からお世話になっているとある先輩から「そういえば、君の好きな映画の悪役って誰なのか」とふいに尋ねれられたことがありました。

そういった観点でものを考えたことがなかったので、そのときはなんとなく咄嗟に思い出される悪役──ということは、印象に残っており、好きな悪役と言っても間違いではないなと思ったからです──を挙げてそのときの返答としました。そこで、それから今一度記憶をひっくり返し、改めて自分の好きな悪役は誰なのか──そして、その理由──を考えて、なんとなく10人くらい挙げて個人的な忘備録としようと思って、いまキーを叩いてる次第です。怪獣、怪人、怪物はノー・カウントです。


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エンジェル(『続・夕陽のガンマン』より、リー・ヴァン・クリーフ演)……テュコとブロンディの金塊探しの旅に付かず離れずつきまとう「悪いヤツ」の悪魔性に、演じるクリーフのトレードマークともいうべき頬骨ばった輪郭に切れ長なツリ目と鉤鼻、そして全身全霊「悪」の権化たる立ち振る舞いがマッチして最凶だ。吹き替え版では「ハゲタカ」と呼ばれる彼だが、クリーフのフィックス故・納谷悟郎の声が加算されて、さらに最高となる。


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パルパティーン(『スター・ウォーズ』シリーズより、イアン・マクダーミド演)……いわずと知れた銀河帝国皇帝陛下。とくにプリクエル(『エピソード1~3』)において、彼が権力を集積し構築し独占する政治力と策略は、いまもって現実的──かつ現在進行形──なのが恐ろしいこと極まりない。ただ、度重なるルーカスの改稿によって『帝国の逆襲』初登場時(エレン・ベイカー演、クライヴ・レヴィル声)の『オズの魔法使』感がなかったことにされているのが残念だ。


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イリーナ・スパルコ(『インディ・ジョーンズクリスタルスカルの王国』より、ケイト・ブランシェット演)……部隊を率いてインディたちと激烈な死闘を繰り広げるサイキックKGBエージェント、という冷戦時代の悪役感増し増しな設定に加えて、あのブランシェットに黒髪オカッパ頭に軍服を着せるというなんとも知れぬ可愛らしさ、そして実写映画としては右に出る者のない見事な「ぐぬぬ……」顔は、映画史に刻まれるべき。


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ガゼル(『キングスマン』より、ソフィア・ブテラ演)……切れ味鋭い両足義足の殺傷能力の設定過剰さに、もともとダンサーだったブテラの軽やかな体躯と身体能力の高さによる説得力が組み合わさったことで醸される絶妙な存在感が素晴らしい。そしてメイドさんとしてもじつに優秀なのがとっても素敵ですよ。オイラもビッグマックセットを配膳されたい。


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ベニー・ガーバー(『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』より、ケヴィン・J・オコナー演)……本作におけるラスボスはもちろん復活ミイラ男イムホテップなのだけれど、ひょんなことから彼の従者となるベニーの小悪党感がたまらない。それも、単にいけ好かないバカ男なのではなく、英語ペラペラなうえ古代エジプト語にも通じ、歴史にもそれなりに詳しいという重層的な人物像が、彼独特の憎めない雰囲気を醸している。そういった部分をつぶさに描出したオコナーの演技が凄く良くてね……。


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ハンス・グルーバー(『ダイ・ハード』より、アラン・リックマン演)……知的な風貌に紳士的なふるまいと、いっけん柔和な穏健派に見えるけれど、同時に目的のためなら手段を選ばぬ冷酷非道ぶりを見せつけるギャップが、彼のキャラクターをより悪魔的に恐ろしくしている。ドイツ出身という設定もあってかどうか、一瞬挿し挟まれるドイツ表現主義的なショットもじつに効果的。そして、あの最期の表情は──演じたリックマンには少々気の毒だが──映画史に刻まれるに値するものだ。


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スコルピオ(『ダーティハリー』より、アンディ・ロビンソン演)……天使のような顔をしていることを条件にロビンソンをキャスティングしたと云われるが、それゆえに自身の殺人や暴力の衝動を女性や有色人種、果ては年端もゆかない子供といった自分よりも弱い相手にだけ向ける彼の猟奇性や異常性の卑劣漢な醜悪さが際立つ。「漕げ、漕げ、漕げよ、もっと漕げよ。ランランランラン、川下り~♪」と童謡を熱唱するシーンの恐ろしさよ!


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ノーマン・スタンスフィールド(『レオン』より、ゲイリー・オールドマン演)……常にダウナー系のヤクでキマっているスタンスフィールドを見事に体現してしまったオールドマンの演技の凄まじさには、いつ観ても圧倒される。ヤクを呑み込んだあと身体を捻じりながら出すなんとも知れぬあの声は、どうやって出しているのだろうか。あと、暖簾を両手でファサーッと軽やかに開いてくぐる動作は、みんな1度は真似したんじゃないかしらん(僕もやりました)。


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ロウ・サン(『プロジェクトA』より、ディック・ウェイ演)……海賊王といったら、なんといっても彼でしょう(異論は是認)。なんてったってジャッキー・チェンサモ・ハン・キンポーとユン・ピョウがよってたかって闘って、ようやっと倒せるほど強いンですよ。これほどの説得力があるだろうか。ゴジラでいえばキングギドラだ。あと、孤島の洞窟に建設した秘密基地にある玉座の間をわざわざ船底を思わせる意匠にしているところも、インテリアに凝る悪党として5億点ですよ。


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なんやかやで、その悪役が好きなのか、その作品が好きなのかがゴッチャになっている感は拭えませんが、映画が面白くなければ悪役は映えませんし、反対に悪役の映え方が映画の魅力に直結している場合もあるので、それはそういったものでありましょう。それにしても、我ながらなんともボンクラなリストになってしまいました。人間性とは隠せないものですね。

2023 3月感想(短)まとめ -Part2-

2023年3月に、ちょこまかとtwitterにて書いていた短い映画感想の備忘録(一部加筆修正)です。


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【劇 場】
◆両親に連れられて観た「映画」に魅了された少年サミーが、やがて映画づくりと家族の秘密の狭間で葛藤することになる『フェイブルマンズ』スティーヴン・スピルバーグ監督、2022)は、たいへん面白いのはもちろんのこと、スピルバーグの原点と、彼の映画についての考え方に触れられる1作だった。


本作で描かれるスピルバーグ少年期を観ていると、彼の映画に通底する要素が如実に思い出されて興味深い。たとえば、彼の映画に登場する子どもと両親との関係を巡る描写がスピルバーグ自身の経験を反映しているとよく云われてきたけれど、本作を観るとそれがどういった形で各作品に息づいているのか──『未知との遭遇』(1975)は逆転して描いていたのか、という発見もあった──を、改めて認識することができるだろう。

また、スピルバーグが常に様々な最新技術を取り入れながら作品を撮る監督になったことも、少なからず両親からの影響があったのだという種明かしも興味深い。冒頭、幼いサミーが両親に連れられてはじめて出かけた映画館でのやりとりを思い出そう。技術者の父は「映画は科学だ」とサミーに説き、芸術家肌の母は「映画は夢よ」と諭す。この相反するようなふたつの観点を両立してきたのが、まさしくスピルバーグ映画だったことは論を待つまい。彼の映画はいつも、最新の映画技法やテクノロジーを用いて、僕ら観客に夢を与えてくれるものだ。


本作の惹句や予告編から受ける印象では、スピルバーグがまるで自身の体験をもとに彼の映画愛を語るような内容とも捉えられるけれど、実際に本作が描き出すのは、そんな単純で楽観的なものではない。もちろん彼の持つどうしようもない映画への愛や映画づくりの楽しさについても、数々の自主映画撮影や上映風景など、ほんとうに楽しそうで多幸感に満ちたシーンで描かれる。しかし本作がまざまざとむしろ描き出すのは、映画が持つ負の力でもある。

思い出そう。サミーは家族旅行の記録映画をつくるなかで、母のとある秘密に気づいてしまう。彼は、映画が意図しないものを映してしまうこと、そしてそれを編集によって隠せてしまうことに思いがけず発見し、狼狽する。また彼は高校の学校行事を映した記録映画をつくるなかで、映画がありもしない出来事や情感を演出や編集によって華麗に生み出せてしまうこと、そしてそれによって観客に激烈な反応を呼び起こしてしまうことを身をもって体験するだろう。サミーが手にしてしまった映画の虚構性とは、彼が思う以上に絶大な力なのだ。

これは、映画というメディアが持つ負の力──言い換えるなら「呪い」──であり、本作がサミーの姿を借りて描き出すのは、それでもなお映画をつくりたいという、スピルバーグの業にほかならない。劇後半で、サミーがとあるシーンで夢想する “「もし、いまここを撮るならどうしようか」とカメラを構える自身の姿” は、この業の恐ろしさがもっとも表れた瞬間だ。

そして本作がスピルバーグの「自伝」ではなく「自伝 “的”」作品という虚実混合のものであることも含意に満ちている。本作のラスト・ショットのカメラワークに付されたちょっとした末尾は、恐ろしく気の利いた洒脱なシャレであると同時に、本作が紛れもなく「映画」であることの高らかな宣言だ。映画の力をライト・サイドからダーク・サイドまで隅々まで知り尽くし、活用し切れるスピルバーグならではの芸当だ(普通できないよ、こんなこと)。


ことほど左様に、本作はスピルバーグの少年期グラフィティであると同時に、彼の考える「映画」についての作品であった。その他、ヤヌス・カミンスキーによる撮影は相変わらず素晴らしかったし、サミーを演じたガブリエル・ラベルのスピルバーグ感や、その両親を演じたミシェル・ウィリアムズポール・ダノの存在感と演技の機微──撮影初日、スピルバーグはふたりを目にして思わず泣いちゃって、ふたりに慰めてもらったらしい──も見応え抜群だ。とにもかくにも本作でも存分に発揮されたスピルバーグの天才性──本作を『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)制作中にちょっと時間が空いたから撮ったというのだから、恐ろしい──を堪能しに、劇場へ出かけたい1作だ。


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◆世界転覆を狙う謎の組織「ショッカー」の陰謀を阻むべく緑川ルリ子とともに闘いに挑む本郷猛の姿を描いた『シン・仮面ライダー庵野秀明監督、2023)は、なんともクセの強い、なかなか観たことのない感触の作品だった。


シン・ゴジラ *1』(同総監督、2016)、『シン・ウルトラマン *2』(樋口真嗣監督、2022)に続く『シン・』特撮リブート第3作である本作でも、これまでのシリーズの持ち味を存分に堪能できることだろう。いささか難解さ──ハッタリこみで──をまとった独特のSF用語や設定に台詞回し、枝葉を出来る限り削ぎ落したソリッドな脚本、そしてありとあらゆる撮影機材を用いることで可能になった庵野作品らしい徹底したグラフィカルさと新鮮さを備えた画面レイアウトのショットの連続を食い気味に繋ぐ編集などを駆使して、これまでにない『仮面ライダー』の味わいを醸している。


とくに本作では、『仮面ライダー』など東映特撮のお家芸──もちろんこれは制作当時の技術やバジェットの制約/限界から生まれたものであるだろう──ともいえる風味を、これでもかとブラッシュアップしている。

それはたとえば、戦闘中にロケーションAを映すショットからライダーが「とうっ!」と跳躍する姿だけを映したショットに飛び、着地するとまったく別のロケーションBになっているマッチカットのような繋ぎ方や、ショットが変わると不意にどこからともなく戦闘員がすでに立っている繋ぎのジャンプカットにも似た手法だ。これらに前述した庵野映画特有の画面レイアウトの卓越したカッコよさと小気味のよい編集とが融合することによって、もはや得も言われぬケレン味の境地に至っている。とにかく本作の戦闘シーンにみられる力技な撮影と編集──しかし、単にチャカチャカしているわけではない──は、新鮮で気持ちがいい。同時に、無茶なスタントをロングショット1カットで捉えるような場面を、近年のVFX技術を用いて迫力満点にブラッシュアップしている部分もあるので、そのメリハリもバッチリだ。


そして、中盤に繰り広げられるライダーと怪人の超高速バトルの殺陣の感じは、かつて庵野秀明が撮った実写版『キューティーハニー』(2004)で用いられた「ハニメーション」──アニメで作画されたアクションに従って、役者を1コマずつ写真撮影し、それを動画化する手法──を思い起こさせるもので、当時からこういうことをやりたかったのだなと、翻って得心もさせられた。

もちろん、本作で用いられたアクションの編集はある種の強引さもあるので、シーンによっては判りづらさのほうが勝っている点も否めない。なかんずくクライマックスでの大乱戦追走シーンはロケーション設定も相まって画面が暗すぎであり、状況や動きがほんとうに吞み込みづらかった。画面にもうすこしの明るさとコントラスト比の高さが加わっていれば、もっと見応えのある──たとえば『悪女/AKUJO』(チョン・ビョンギル監督、2017)などの追走シーンにも匹敵するような──シーンになったのではないだろうか。


また、本作の作劇上での最大のネックは、市井の人々が──ほんの数ショットを除いて──まったく登場しないことだろう。なぜなら、これによってショッカーの怪人たちが暗躍することで具体的にどういった被害が出るのか、台詞での説明は多少あるものの、映像的な手掛かりがほとんどないからだ。

これが『ゴジラ』や『ウルトラマン』なら、怪獣が暴れればビルが壊れるというビジュアルが必然的に付随するので、それほど違和感は生じまい。しかしながらが、等身大ヒーローである『仮面ライダー』たる本作においては奇妙なノイズとして画面に定着されている(というか映っていない)印象があるのは拭えない。ライダーが一般市民の人命救助をしたり、なんなら怪人が出現して人々が「きゃーっ」と逃げ散らばったりするシーンもないどころか、車道に対向車すら最後まで出てこないことには正直驚いた。ある意味で本作は、究極の箱庭映画ないし “ごっこ遊び” 映画といえるかもしれない(あるいは、本作の「ショッカー」の設定的に、この世界がほんとうに “箱庭” だったのかも、という深読みも可能だろう)。

ところがぎっちょん、それが難点ばかりかといえば、そうでない側面もある、というのが本作の不思議なところだ。

前述のように市井の人々が画面に登場しないのは、本作のカメラが本編のほぼ全篇、隠密行動中の主人公・本郷猛(ライダー)とヒロインの緑川ルリ子から離れないためだ。カメラがふたりから離れるのは、ショッカー内での怪人たちの必要最低限の会話シーンくらいである。したがって僕ら観客がスクリーンから得られる情報は、知らぬあいだに改造人間──劇中の呼称では「オーグ」──にされてしまった本郷猛と彼を先導する緑川ルリ子が見聞きするものとほぼ同等のものであり、これによってふたり(の物語)への没入感やシンクロ感が高まっているのは間違いない。テレビシリーズとは違って尺の短い映画作品において主人公たちに感情移入させるべく採られてたであろう、この情報の取捨選択はクレバーともいえるだろう。


ことほど左様に、本作はアクションにせよ作劇にせよ、やりたいことをより具現化しようと結果として非常にクセが強く、エッジの効いたものとなっており、本作で庵野秀明が採用した諸々の演出は諸刃の剣──いみじくも劇中に “そこに一画足すのか、そこから一画引くのかで意味が逆転する漢字” の喩え話が出てくるように──だ。これらの是非をどのように捉えるかによって、観客の評価は賛否両論十人十色となるのは必至だろう。少なくとも僕自身は、本作の尖り方を新鮮に楽しんだし、好意的に評価したい。

その他、主人公を演じた池松壮亮のなんとも知れぬ “昭和” な存在感や浜辺美波のフォトジェニックさは本編の世界観にとてもマッチしていたし、そのとき動かない箇所は文字どおり静止画で表現される “あいつ” の動きは不穏でよかったし、バイクの変形や各怪人の変身の見せ方も面白かったし、基本血みどろな戦闘 *3は愉快だったし、キャスティングの重複も「あんたも好きねえ」とニッコリさせられたし、部分的に用いられていると思しきミニチュア特撮の見応えや、SEの聴き応えもあった。熱心なファンならもっと気づける小ネタやオマージュ──ロケ地やら小道具やら大道具やら展開やら──もきっとあったのだろうな、とはいえ説明不足で脈絡不明な箇所が数ヶ所はゼッタイあったよなァと思いつつ、なんやかやでこれまでの『シン・』シリーズ同様、楽しく新鮮な余韻に浸ることのできる作品だった。面白かったです。


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【ソフト】
◆とある高校の演劇部にOBがやって来たことで思いがけない珍事が巻き起こる、アイドルグループ “私立恵比寿中学” 主演の舞台『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』(土屋亮一演出、2015)は、シンプルにたいへん面白い喜劇作品だった。

恥ずかしながら僕は、本作が舞台作品であることも、エビ中メンバー主演であることも、そもそも彼女たちのことについても皆目知らないという、不勉強極まりない状態で観たのだけれど──ときおり先輩方と開催する映画同時視聴会の題材となったのです──とても面白かった。

高校の演劇部部室を舞台に、二転三転する展開、二重三重に交錯する登場人物たちの思惑、横滑りに雪崩れてゆく台詞の意味、個性と癖の強いキャラクター造形などなど、まことに複雑怪奇な物語をオモチロ可笑しく伝え切る脚本と演出の妙が素晴らしいし、劇場の空気と笑いをガッチリ掴んでゆくメンバーたちのコメディエンヌぶり──とくに印象に残ったのが、小林歌穂の見事な見事な膝のガクブルぶり──も見応え抜群で、終始ゲラゲラ笑い転げることとなった。とってもいいものを観ました *4


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*1:公開当時の感想: 『シン・ゴジラ』感想 - つらつら津々浦々(blog)

*2:公開当時の感想: 2022 5月感想(短)まとめ - つらつら津々浦々(blog)

*3:市川崑オマージュの流血演出もありましたね。

*4:あとで調べて知ったのですが、劇中で見事に場を搔き乱すトリックスターを演じていた松野莉奈さんは若くして急逝していたのですね。彼女のパフォーマンスも素晴らしかった。ご冥福をお祈り申し上げます。

2023 3月感想(短)まとめ -Part1-

2023年3月に、ちょこまかとtwitterにて書いていた短い映画感想の備忘録(一部加筆修正)です。


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【劇 場】
◆2010年、へんぴな田舎に暮らすチャイ売りの少年サマイが町ではじめて観た映画に魅力にのめり込み、やがて映写技師の男ファザルと出会う『エンドロールのつづき』(パン・ナリン監督、2021)は、思いがけず射程の深い「映画」についての作品だった。


本作の舞台となるのは、インド北西部に位置するグジャラート州の片田舎。ガンディーの出身地として知られるこの地方独自の公用語グジャラート語」を用いた映画が日本で公開されるのは本作がはじめてという。そういうこともあってか、スクリーンに映される風景や風土──大地を覆いつくす畑や牧草地の緑、季節の移り変わりで大幅に水かさの変化する河、少年たちの学校への通い方などなど──は、いままでつまみ観してきたインド映画群とはまた違った味わいだ。同地方でオーディションを行い、3,000人のなかから選ばれたサマイ役バヴィン・ラバリをはじめ、彼の友達たちを演じた少年たちの存在感も素晴らしい。

本作の題材とあらすじをみるなら、多くの観客が『ニュー・シネマ・パラダイス』(ジュゼッペ・トルナトーレ監督、1988)を思い起こすだろう。もちろん本作の主軸のひとつである、映画好きの少年が映写技師のオジサンの導きによって映写室の小窓から映画を覗き観るという構造は似通っている。また、本作で語られるエピソードの多くがナリン監督自身の少年期の出来事だということで『大人は判ってくれない』(1959)といったフランソワ・トリュフォー監督作なども思い起こされることだろう。そのほか、冒頭で謝辞の捧げられた各監督の映画作品へのオマージュもそこかしこにあって、ナリン監督は劇中のサマイ少年と同じく映画をほんとうに愛しているのだろうと思わされることしきりだ。


本作でとくに興味深いのは、サマイが映画の物語や役者といった内容はもちろんのこと、映画はどのような仕組みでスクリーンに映写されているるのかという点に強く魅かれている点だ。

劇中で彼が友だちとおこなう「映画づくり」がいわゆる──そしてよくある──映画撮影ではなく、映画の上映/映写の再現であったことを思い出そう。フィルムの切れ端を壁に投射することからはじまり、ガラクタをかき集めて自前の映写機をこしらえ、そして……というサマイの映画づくりは、そのまま人類が光とレンズによって投射を行い、写真を発明し、そしてそれを繋げて動画から映画へと進化させ、さらに無声映画からトーキー、モノクロからカラーへ等々といった映画メディア技術の進化/発展の再発見にほかならない。同時にわれわれ観客は、サマイをとおして100年余の映画史と、映画を観ることの原初的な楽しさの核心を追体験させられることだろう。まさしくそれは、劇中にあるとおり、光との戯れによって浮かび上がるのだ。


であればこそ、本作の物語の舞台が2010年という、映画史において大きな変化のあった端境(はざかい)期に設定されていたに違いない。本作のクライマックスでは、この時期に前後して世界各地で見られたであろう光景が、ある種の無常観すらもって映し出される。クライマックスにおいてサマイが彷徨い見る一連の光景の切り取られ方は、どこか神々しく超現実的でもあり、そして同時に──ドキュメンタリー映画作家でもあるナリン監督のテイストもあるのだろう──非常にまざまざとシステマティックに達観した不思議な感触で、そこがまさしくサマイと映画にとっての常世──もっといえば地獄──であったことを痛感させられる見事なシーンだ。

しかし、本作が真に素晴らしいのは、ここで終わらないことだ。もちろん物語的には、少年期の出逢いと喪失を映画史のある種のピリオドと重ね合わせることでノスタルジックな味わいを醸して結末とすることも可能であっただろう。だが、映画メディアがいまも変化と進化をし続けているように、サマイや物語もまた前を向くことを選ぶ。ひとつの時代が終わることが、けっしてすべての終わりではないことを本作はささやかに、しかし力強く謳い上げる。ラスト・シーンに映された、かつてのものから姿を変えた色とりどりの品々を観たとき、素敵な感慨がこみ上げてくる。ありとあらゆるものがどんなに姿かたちを変えようと、これからも「映画」は、きっとまだまだ続くのだ。


その他、サマイら少年たちの絶妙な逞しさは微笑ましかったり、彼やその父が丘の向こうになにを眺めているのかの展開のさせ方も巧みだったり、冒頭と終盤の飛行機の使い方──監督によれば、空を飛ぶ飛行機を見ることが子ども時代に外の世界と繋がる唯一のものだったという──はさりげなく見事 *1だったり、お母さんのつくる料理がとにかく美味しそうで美味しそうでお腹が空いたりもした本作だが、とにもかくにも、あらすじや予告からは予想もしないほど深い射程を持った「映画」についての、そして映画愛に溢れた1作だった。全国順次公開作なので上映館も限られてはいるものの、お近くで上映の際は、ぜひとも本作がスクリーンに映す光を浴びに劇場へお出かけください。


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◆スコットの娘キャシーが開発した量子世界探索装置の謎の暴走により、未知の量子世界へと吸い込まれるアントマン&ワスプ: クアントマニア』(ペイトン・リード監督、2023)は、どうにも面白くなり切らない1作だった。


たしかに本作はMCUマーベル・シネマティック・ユニバース)フェイズ5の幕開けに相応しく、フェイズ4までではいささか不明確だった最強ヴィランたる征服者カーンも登場し、いよいよシリーズにおける物語の本筋が立ち上がった感はある。また、冒頭と終盤に付されたスコット・ラング/アントマンの日常描写も微笑ましい。

しかし、どうしたものか、ここまでピンとこないMCU作品も久々というか、本作はどうにも煮え切らない。本作で新たに登場するこれまでとは “別の“ 量子世界設定の後付け感が凄いとか、その画やシーンの見せ方もこじんまりしていたりとか、なんだか全体的に画面が薄暗くて見づらかったりとか、各所にまぶされたギャグも滑りどおし──やはり設定面白早口解説おじさんルイス(マイケル・ペーニャ)の不在は寂しい──とか、いろいろ思うところはある。


ただ、本作でもっとも欠如している──あるいは、本作に期待していた──のは、これまでの『アントマン』シリーズにあった独自の魅力ではなかったか。それは、小さくなったり大きくなったりというヒーローの特性を活かした画作りと、捕り物合戦の面白さだ。残念ながら本作では、アントマンたちの縮小/拡大の使い方に──新鮮味がないのは仕方ないかもしれないが──画的な面白さや戦略的ロジックが希薄で単調に思えたし、いわゆるマクガフィンを巡って敵味方入り乱れての追走劇がほとんど見られないのがとても残念だ。

ところで、本作における敵兵たちのデザインや、そもそも物語それ自体が、びっくりするほど『トロン』(スティーブン・リズバーガー監督、1982)にソックリで大丈夫なのかしらんと心配になるほどだった──いや、どっちもディズニーだからいいのか──のだけど、その既視感の強さも本作の面白さを阻害する要因だったのかもしれない。


MCUのなかでも『アントマン』シリーズはけっこうお気に入りだっただけに、本作に自分がノリ切れなかったのが悔やまれるが、はてさて、あまりに邦題が不評だったために慌てて「Volume 3」にしたためにいよいよ整合性がおかしくなったMCU次作はどうなりますことやら。


     〇


◆ランドリーの経営もうまくゆかず、夫婦仲は冷め切り母娘関係も亀裂が生じている中国系移民のエヴリンが、ひょんなことからあまねくマルチバースを救う闘いに駆り出される『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ダニエル・クワンダニエル・シャイナート監督、2022)は、いままでにないユニークさと普遍的な感動を持ち合わせた不思議だが力強い1作だった。


本作は、一見とにかくハチャメチャだ。カンフー映画マルチバースSF、ホームドラマにメロドラマ、親子関係に夫婦関係、移民やLGBTQに世代間ギャップ、世界線ごとに目まぐるしく変わる画面サイズ、くだらないにもほどがあるギャグの連発に多種多様なパロディとオマージュ、そして石ころ……と、書き出すだけでも点でバラバラな要素は、まさしく「なにもかもがいっぺんに」というタイトルどおりである。そして、これがそのじつ見事に混然一体となって──まさしく劇中に登場する「ベーグル」のように──観客を惹きつけてやまないだろう。

キャリアの集大成ともいえる演技とアクションを余すところなく披露するミシェール・ヨーや、役者としては久々の登板となったキー・ホイ・クァンら俳優陣の好演、殺陣やフィルムスピードから撮影方法まで香港映画そのままのカンフー・アクション(スタント集団「MartialClub *2」の面々が関わっているのも嬉しい)、幾重にも拡がる複雑怪奇なマルチバース世界線の数々を1本に繋いでみせたポール・ロジャーズの編集、本作のヴィラン “ジョブ・トゥパキ” を彩るシャーリー・クラタの鮮やかな衣装デザインなどが、グッと映画の存在感を引き立ている。


また、ダニエルズ監督らのインタビュー *3を読むと、本作の物語を駆動させる様々なトピックが、どれも彼らの出自や経験、トラウマが元になっているという。このことには、やはりマーティン・スコセッシの「最も個人的なことこそ最もクリエイティブなこと」という言葉を思い起こしてしまうけれど、だからこそ本作が多くの観客の胸に大なり小なりの共感を呼び起こすのに違いない。

そして、本作のクライマックスに通底する精神にも大いに感動した。それは「人に優しく(Be Kind)」あろう、という精神だ。これは作家カート・ヴォネガットの「愛は負けても、親切は勝つ」からの引用ともいわれるが、もしも人も神も信じられないような絶望的な状況下にあったとき、それでもなお目の前の人に優しくあろうというヴォネガットの教えが本作に変奏され、それを僕ら観客に思い起こさせてくれることは、このご時世とくに意義深いことだろう。形やその大小はどうあれ、国内外でいまだ多くの人が苦しんでいる心無い暴力よりもちょっとばかしの親切を選ぼう、ということのほうが──また事実、それによって本作の物語がきちんと決着するように──よほど有用な教えだ。


なにはともあれ、この複雑怪奇すぎるがゆえに説明が恐ろしく難しい本作について、その魅力を思うように書き出せなかったことは口惜しいけれど、ハチャメチャに奇天烈で、猛烈にオモチロ可笑しく、カンフーアクションに手に汗握り、そして広く奥深い射程をもきっちり備えた本作は、米アカデミー賞7冠達成も納得の1作だ。


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*1:題材的にはだいぶ違うけれど『リメンバー・ミー』(アレン・コールター監督、2010)のそれをちょっと思い出した。

*2:MartialClub - YouTube。このチャンネルで、本作の撮影風景も公開されている。

*3:A24史上No.1ヒット作『エブエブ』はアジアでどう受け入れられるのか。監督ダニエルズに訊く | ブルータス| BRUTUS.jp。2023年3月16日参照。

2023 1-2月感想(短)まとめ

2023年1月から2月にかけて、ちょこまかとtwitterにて書いていた短い映画感想の備忘録(一部加筆修正)です。


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【ソフト】
◆山岳雑誌のカメラマン深町誠が、かつて神童と謳われたものの現在消息不明の登山家・羽生丈二と出逢う夢枕獏による小説を、谷口ジローが作画した同名漫画をアニメ化した神々の山嶺(パトリック・アンベール監督、2021)は、画面に映る日本の風景やリミテッド・アニメーションによる作画がいかにも日本アニメのようでありつつも、いっぽう現状の日本アニメではおそらくあり得ない写実的に日本人のキャラクター・デザインや背景美術の質感の組み合わせが観たことのない手触りで面白いし、これを大塚明夫堀内賢雄らが演じる日本語吹替版で観ていると、いよいよアニメなのか実写洋画なのかと不思議な感覚に陥る。

それはともかくとしても、強大なエベレストの断崖絶壁など様々な山岳登頂アクションの迫力と恐怖、観ているこちらまで強烈な頭痛のしそうな高山病描写は強烈だったし、前半のミステリ的展開と後半の登頂冒険譚的展開を繋ぎ合わせる構成は『ジョーズ』(スティーヴン・スピルバーグ監督、1975)を思い出されて興味深い。これは余談だけれど、それなりに劇中の時代考証がしっかりしている本作において、映画冒頭の1カットだけ映る深町の本棚にある書籍の数々が「そんなもんクソくらえ、オイラたちの好きなンはコレじゃい!」という作り手の熱い思いのタイトルで彩られているのが微笑ましかった。


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◆川辺の小さな村を恐怖に陥れる怪物 ”水猿” に、かつて父を喰い殺された青年スイショウが闘いを挑む『水怪 ウォーター・モンスター』(シアン・チウリアン、シアン・ホーション監督、2019)は、倒すべき怪物 ”水猿” を着ぐるみと特殊メイクで造形していたり、衣装やセットといった諸々のプロダクション・デザイン、アクションの殺陣──とくに、水猿がゴリゴリのカンフー武侠アクションで襲ってくるのが面白い──に適度なゴア描写など、頑張るところは頑張っていて見どころがある。

しかし、それなりに人数のいるキャラクターたちの関係性にはじまり、途中登場する大仕掛けはいつ準備したのか、そもそも作中の舞台はどういう地理関係なのかなどなど、本作は描くべき様々な過程という過程のほとんどを見事にすっぽかしていて、それゆえにたとえ主人公が大演説をかまそうが、人死にが出ようが、戦いに勝利しようが、なんともノリづらい。挙句、水猿との決着が──そのフラッシュバックをインサートしておいて──それかい! という、なんとも歯切れの悪いもので意気消沈した。そりゃ80分以下になっちゃうよなぁ。


     〇


◆偶然にもビデオ日記撮影中にUFOに誘拐された青年アイザックが辿る数奇な冒険を描く『ディメンション』(エリック・デミューシー監督、2020)は、どこへ向かうか分からない脚本の方向性と、そこかしこに現れる作り手たちの「あれとかこれとかそれが好きなんだ」という妙な熱意が可愛らしい1作だった。

こういう接近遭遇ものにしては即座に主人公アイザックが誘拐される冒頭のツイストは驚いたし、そうかと思えば部分的記憶喪失なままに生還した彼が撮影していた映像フッテージをネットに上げることで巻き起こる騒動によって、本作のテイストが昨今のバズり至上主義の戯画化とも思えるような青春ものに移行したり、また陰謀ものに揺り返したり、観光映画にすっ飛んだりと、とにかく捻れるものは捻り倒そうという一貫した意図は非常に面白い。本作の提示する異星人の目的などは、その最たるものだろう。

そして、『E.T.』(スティーヴン・スピルバーグ監督、1982)のエリオットと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督、1985)のマーティが着る衣装を足したような欲張りコーディネートのアイザックや、『THX-1138』(ジョージ・ルーカス監督、1971)を思わせる謎の追手、どういうわけだか全部ブラウン管仕様の秘密基地などなど、この作り手たちとは気が合うか殴り合いの喧嘩になるかの二者択一な趣味感溢れるプロダクション・デザインの方向性は好きだったし、なによりアイザックを演じたライアン・マソンの風貌が──本作の題材が題材だけに──『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督、1968)でボーマン船長を演じたキア・デュリアの雰囲気にソックリだったのは印象深い。

ただいっぽうで、本作では絶妙に語り足りずに判然としない要素がそこかしこにあると同時に、その割には妙に間延びしたシーン──とくに存外にロケ地が多そうな本作ゆえか、移動や彷徨のシーンが若干長い(撮影、楽しかったんだろうなァ)──も多々あって、いささか垢ぬけていないのが惜しいところだ。これらの取捨選択と補完にもうすこし気を配って、約120分ある尺をあと15分くらい刈り込めば、より見応えがあったのではないかしらん。


     〇


◆不良兄弟を追う刑事が、彼らと共にどういうわけだか延々とループするビルの非常階段に閉じ込められるソリッド・シチュエーション・スリラー『パラドクス』(イサーク・エズバン監督、2014)は、そこかしこに──文字どおり──積み重ねられるディテールによって構築される世界観が面白い作品だった。

いわゆる “ループもの” としては生命力/生活力に長けた登場人物たちというのも意外だったし、端々に垣間見えるディテールが、やがて詳らかにされる世界の仕組み──それが明かされるシーンの編集も素晴らしい──にきちんと説得力を持たせているのが面白い。とくに吸入器のくだりの見せ方、これは素晴らしい。

ところで余談であるし、本作とは公開時期が大きく前後するけれど、本作を観てテレビアニメ『Sonny Boy』(夏目真悟監督、2021)の顛末がなんとなく思い出されました。


     〇


◆未曽有の大雨のなか、バスステーションに取り残された人々を謎の奇病が襲う『ダークレイン』(イサーク・エズバン監督2015)は、ほぼモノトーンに調整された色彩──しかし、一部分だけカラーになるのも含めて──、劇伴のアレンジ、端々に多用されるズームドリー撮影、冒頭と結末に付されたナレーション、妙に書体のデカいオープニング・クレジットのデザインに至るまで、ひとつのコンセプトに沿って撮られているのが興味深い1作だった。

それは、もしもヒッチコックがTVドラマ『トワイライト・ゾーン』(1959-1960)でソリッド・シチュエーション・スリラーを作ったら……という、思考実験的なコンセプトだ。そうであればこそ、どう観たって『サイコ』(1960)としか思えないシーンが登場したり、そもそも本作の舞台が '60年代だったのかの証左にもなることだろう。

惜しむらくは、そのコンセプトが空回り過ぎていささか冗長だったり、先述した同監督の『パラドクス』(2014)と世界観を共有したりもしているそうなのだが絶妙にピンと来なかったりする点だったりするのだけれども、なかなか奇想の効いた──そして、どこか懐かしい──後半のヴィジュアルは見応えがある。


     〇


◆大学生アレックスが、幼いころ亡くした母と再会しようと幽体離脱を試みる『デーモンズ・ゲート 冥界への扉』(クリス・マル監督、2018)は、そこかしこに描写不足な要素が多々あって物語をいささか飲み込みづらい点こそ否めない。しかし、ジャンプ・スケアをほぼ使用せず、静謐だが不穏なカメラワークのなかの暗がりに染みのように影が映り込むホラー演出は抑制が効いていて味わい深い(そのため、ボリューム不足と感じる向きもあることだろう)。

本作でみられる恐怖表現は、本作と同じくイギリス映画である『回転』(ジャック・クレイトン監督、1961)を起点として発展した1980年代から2000年ごろにかけてのいわゆる ”Jホラー” 的表現を経て、それが本国へと舞い戻ったような趣を感じさせるものだ。本作の全体的な設定や雰囲気も、どこか『回路』(黒沢清監督、2001)を思い起こさせる。ところで話題は変わるけれど、本作の日本語吹替え版の翻訳がとても自然でよかったことも、ひとこと添えておきたい。僕は、好きな1作だった。


     ※

2022年劇場鑑賞映画ベスト10


     ※


あけましておめでとうございます。


いつのまにか、3歩進んで2歩下がる暇もなく2022年が終わってしまいました。
ほんとうに実感がない。わがなけなしの生産性よ、どこ行った。


     ○


唯一まざまざと覚えているのは、夏ごろ夜間に歩いていたら自転車に当て逃げされて、
全治1ヶ月ほどのケガ──左足の踵を3針縫った、など──を負ったことでありましょうか。

その晩、神経が高ぶって寝られなくてツイートした絵。


犯人もわからず保険も下りず、ただただ心身と財布に痛い思いをして人間不信になるばかり。
はやく平穏で幸せになりたいものですね。皆様もお気をつけくださいませ。


     ○


あと思い出深いのは、はじめて漫画作品についてキッチリ文章にしたことです。面白かったなァ!
masakitsu.hatenablog.com


     ○


といったところで閑話休題
以下に僕が昨年劇場で鑑賞した映画からベスト10を選んでリスト化してみました。
地方在住の偏食家ゆえ、鑑賞作品に偏りがあることを、ひとつご容赦ください。

それはさておきも、本年が皆様にとって善い年であるよう、心よりお祈り申し上げます。


     ○


【2022年劇場鑑賞映画ベスト10】

1.NOPE/ノープジョーダン・ピール監督、2022)


2.『すずめの戸締まり新海誠監督、2022)

3.『スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム』(ジョン・ワッツ監督、2021)


4.『エルヴィスバズ・ラーマン監督、2022)

5.『ゴーストバスターズ/アフターライフジェイソン・ライトマン監督、2021)


6.『シン・ウルトラマン樋口真嗣監督、2022)

7.『RRR アールアールアールS・S・ラージャマウリ監督、2021)

8.『バッドガイズ(ピエール・ペリフィル監督、2022)

9.『ウエスト・サイド・ストーリースティーヴン・スピルバーグ監督、2021)

10.『バズ・ライトイヤー(アンガス・マクレーン監督、2022)

10.オカルトの森へようこそ THE MOVIE白石晃士監督、2022)


     ※


【2022年劇場鑑賞映画リスト】 ※鑑賞順
スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム』ジョン・ワッツ監督、2021)
『クライ・マッチョ』クリント・イーストウッド監督、2021)
『ハウス・オブ・グッチ』リドリー・スコット監督、2021)
バイオハザード: ウェルカム・トゥ・ラクーンシティヨハネス・ロバーツ監督、2021)
ゴーストバスターズ/アフターライフ』ジェイソン・ライトマン監督、2021)

『ウエスト・サイド・ストーリー』スティーヴン・スピルバーグ監督、2021)
アンチャーテッドルーベン・フライシャー監督、2022)
ナイル殺人事件ケネス・ブラナー監督、2022)
『ドリームプラン』レイナルド・マーカス・グリーン監督、2021)
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』マット・リーヴス監督、2022)


10


SING/シング: ネクストステージ』(ガース・ジェニングス監督、2021)
『ナイトメア・アリー』ギレルモ・デル・トロ監督、2021)
『ボブという名の猫2 幸せのギフト』(チャールズ・マーティン・スミス監督、2020)
ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』サム・ライミ監督、2022)
『シン・ウルトラマン樋口真嗣監督、2022)

『バブル』荒木哲郎監督、2022)
トップガン マーヴェリック』ジョセフ・コシンスキー監督、2022)
『ザ・ロストシティ』(アーロン・ニー、アダム・ニー監督、2022)
バズ・ライトイヤー(アンガス・マクレーン監督、2022)
『エルヴィス』バズ・ラーマン監督、2022)


20


『ソー: ラブ&サンダー』タイカ・ワイティティ監督、2022)
ミニオンズ フィーバー』カイル・バルダ監督、2022)
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(コリン・トレヴォロウ監督、2022)
『NOPE/ノープ』ジョーダン・ピール監督、2022)
『訪問者』白石晃士監督、2022) ※短篇

『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』白石晃士監督、2022)
『ブレット・トレイン』デヴィッド・リーチ監督、2022)
『“それ” がいる森』中田秀夫監督、2022)
『バッドガイズ』(ピエール・ペリフィル監督、2022)
『RRR アールアールアール』S・S・ラージャマウリ監督、2021)


30


『ぼくらのよあけ』(黒川智之監督、2022)
アムステルダムデヴィッド・O・ラッセル監督、2022)
『すずめの戸締まり』新海誠監督、2022)
ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ライアン・クーグラー監督、2022)
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』(ドン・ホール監督、2022)

『ブラックアダム』(ジャウム・コレット=セラ監督、2022)
ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』スティーブ・コックス監督、2021)


     ※

【備忘録】2022年 鑑賞作品リスト



It's TOSHINOSE, O-MISOKA!!!

というわけで、2022年に観た映画等の備忘録リストです。今年初見は209作品(短篇、TVMなど含む)とTVアニメ、OVA、ドラマシリーズなどをいくつかでした。 末尾に “◎” のあるものは劇場で観たものです。気まぐれに短い感想を書いた作品もありますので、よろしければ過去投稿記事をご参照いただければ幸いです。それでは皆様、よいお年を。


     ※


【2022年 鑑賞作品リスト】

『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(トニ・ベスタルド、マルコス・カボタ監督、2015)
スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム』ジョン・ワッツ監督、2021)◎
『無タイトル』(田川幹太監督、2021) ※短篇 *1
『透明人間』ジョン・カーペンター監督、1992)
『ラン・ハイド・ファイト』(カイル・ランキン監督、2020)

アンモナイトの目覚め』フランシス・リー監督、2020)
白頭山大噴火』(イ・ヘジュン、キム・ビョンソ監督、2019)
ライトハウス(ロバート・エガース監督、2019)
ドント・ブリーズ2』(ロド・サヤゲス監督、2021)
『返校 言葉が消えた日』(ジョン・スー 監督、2019)


10


『クライ・マッチョ』クリント・イーストウッド監督、2021)◎
『スパイダー VS マン』(ティボー・タカクス監督、2013)
『暗殺者』リチャード・ドナー監督、1995)
『ハウス・オブ・グッチ』リドリー・スコット監督、2021)◎
スピード・レーサーウォシャウスキー兄弟 ※現・姉妹 監督、2008)

『AVA/エヴァテイト・テイラー監督、2020)
『The Backrooms (Found Footage)(原題)(ケイン・ピクセルズ監督、2022) ※短篇
『The Backrooms - The Third Test(原題)(ケイン・ピクセルズ監督、2022) ※短篇
『The Backrooms - First Contact(原題)(ケイン・ピクセルズ監督、2022) ※短篇
『The Backrooms - Missing Persons(原題)(ケイン・ピクセルズ監督、2022) ※短篇


20


『Mar11_90_ARCHIVE.tarMar11_90_ARCHIVE.tar(原題)』(ケイン・ピクセルズ監督、2022) ※短篇
宇宙大戦争本多猪四郎監督、1959)
『緯度0大作戦』本多猪四郎監督、1969)
『大盗賊』谷口千吉監督、1963)
『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦! 南海の大怪獣』本多猪四郎監督、1970)

バイオハザード: ウェルカム・トゥ・ラクーンシティヨハネス・ロバーツ監督、2021)◎
さよならジュピター(橋本幸治監督、1984
子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』三隅研次監督、1972)
子連れ狼 三途の川の乳母車』三隅研次監督、1972)
子連れ狼 死に風に向う乳母車』三隅研次監督、1972)


30


子連れ狼 親の心子の心斎藤武市監督、1972)
子連れ狼 魔道冥府』三隅研次監督、1973)
子連れ狼 地獄へ行くぞ! 大五郎』黒田義之監督、1974)
『透明人間』小田基義監督、1954)
ゼイラム雨宮慶太、1991)

学校の怪談平山秀幸監督、1995)
学校の怪談2平山秀幸監督、1995)
学校の怪談3金子修介監督、1997)
学校の怪談4平山秀幸監督、1999)
ゴーストバスターズ/アフターライフ』ジェイソン・ライトマン監督、2021)◎


40


『Swallow/スワロウ』(カーロ・ミラベラ=デイヴィス監督、2019)
『ウエスト・サイド・ストーリー』スティーヴン・スピルバーグ監督、2021)◎
『ヴァスト・オブ・ナイト』(アンドリュー・パターソン監督、2019)
アンチャーテッドルーベン・フライシャー監督、2022)◎
『JUNK HEAD』(堀貴秀監督、2021)

『士魂魔道 大龍巻』稲垣浩監督、1964)
『大冒険』古沢憲吾監督、1965)
『ザ・デプス』(ショーン・S・カニンガム監督、1989)
『Plurality(原題)(デニス・A・リウ監督、2012) ※短篇
ジェームズ・ボンドとして』(ベイリー・ウォルシュ監督、2021)


50


『Commando Ninja(原題)(ベンジャミン・コンブス監督、2012)
『エアポート'80』(デヴィッド・ローウェル・リッチ監督、1979)
『ミッション』(ローランド・ジョフィ監督、1986)
ニア・ダーク/月夜の出来事キャスリン・ビグロー監督、1987)
『DAGON』スチュアート・ゴードン監督、2001)

エスパイ』福田純監督、1974)
ナイル殺人事件ケネス・ブラナー監督、2022)◎
『すばらしき映画音楽たち』(マット・シュレーダー監督、2017)
『FREAKS フリークス 能力者たち』(ザック・リポフスキー、アダム・B・スタイン監督、2018)
『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス(飯島敏宏監督、1972)


60


『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』(ミカエル・マルシメーン監督、2020)
『ヒドゥン』(ジャック・ショルダー監督、1987)
G.I.ジョー: 漆黒のスネークアイズ』ロベルト・シュヴェンケ監督、2021)
『ドリームプラン』レイナルド・マーカス・グリーン監督、2021)◎
『キャンディマン』(ニア・ダコスタ監督、2021)

ボーン・スプレマシーポール・グリーングラス監督、2004)
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』マット・リーヴス監督、2022)◎
『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』(エイプリル・ライト監督、2020)
『キラー・メイズ』(ビル・ワッターソン監督、2017)
『良いビジネス』(レイ・サリバン監督、2019) ※短篇


70


SING/シング: ネクストステージ』(ガース・ジェニングス監督、2021)◎
ボーン・アルティメイタムポール・グリーングラス監督、2007)
『ナイトメア・アリー』ギレルモ・デル・トロ監督、2021)◎
『レゴバットマン ザ・ムービー』クリス・マッケイ監督、2017)
『バウンド』ウォシャウスキー兄弟 ※現 姉妹 監督、1996)

血と砂岡本喜八監督、1965)
『電送人間』福田純監督、1960)
『美女と液体人間』本多猪四郎監督、1958)
『ボブという名の猫2 幸せのギフト』(チャールズ・マーティン・スミス監督、2020)◎
『日本誕生』稲垣浩監督、1959)


80


『かそけきサンカヨウ今泉力哉監督、2021)
『スレイト』(チョ・バルン監督、2020)
『共謀家族』(サム・クァー監督、2019)
『バクラウ 地図から消された村』(クレベール・メンドンサ・フィリオ監督、2019)
ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』サム・ライミ監督、2022)◎

『キュア ~禁断の隔離病棟~』ゴア・ヴァービンスキー監督、2017)
『シン・ウルトラマン樋口真嗣監督、2022)◎
『コンティニュー』(ジョン・カーナハン監督、2020)
『シェラ・デ・コブレの幽霊』(ジョセフ・ステファノ、ロバート・スティーヴンス監督、1964)
『バブル』荒木哲郎監督、2022)◎


90


『ゾンビマックス! 怒りのデス・ゾンビ』(キア・ローチ=ターナー監督、2014)
『Mr.ノーバディ』イリヤ・ナイシュラー監督、2021)
『死霊探偵 俺たちゴーストハンターズ』(トニー・ウエスト監督、2018)
『殺しの烙印』鈴木清順監督、1967)
『サイコ2』リチャード・フランクリン監督、1983)

トップガン マーヴェリック』ジョセフ・コシンスキー監督、2022)◎
L.A. ギャング ストーリールーベン・フライシャー監督、2013)
『ザ・ロストシティ』(アーロン・ニー、アダム・ニー監督、2022)◎
バズ・ライトイヤー(アンガス・マクレーン監督、2022)◎
『ヨーロッパ横断特急』アラン・ロブ=グリエ監督、1966)


100


『エルヴィス』バズ・ラーマン監督、2022)◎
『FRANK -フランク-』(レニー・エイブラハムソン監督、2014)
『ただ悪より救いたまえ』(ホン・ウォンチャン監督、2020)
関ヶ原原田眞人監督、2017)
『ソー: ラブ&サンダー』タイカ・ワイティティ監督、2022)◎

『TOVE/トーベ』(ザイダ・バリルート監督、2020)
ミニオンズ フィーバー』カイル・バルダ監督、2022)◎
『ベテラン』(リュ・スンワン監督、2015)
『アンフレンデッド』(レヴァン・ガブリアーゼ監督、2014)
『ズーム 見えない参加者』(ロブ・サベッジ監督、2020)


110


『懲罰大陸★USA』ピーター・ワトキンス監督、1971)
『ウィリーズ・ワンダーランド』(ケヴィン・ルイス監督、2021)
『Madres Paralelas(原題)ペドロ・アルモドバル監督、2021)
湯殿山麓呪い村』池田敏春監督、1984
陸軍中野学校増村保造監督、1966)

『ムーンフォール』ローランド・エメリッヒ監督、2022)
『女必殺拳 危機一発』山口和彦監督、1974)
『帰って来た女必殺拳』山口和彦監督、1975)
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(コリン・トレヴォロウ監督、2022)◎
『アンホーリー 忌まわしき聖地』エヴァン・スピリオトポウロス監督、2021)


120


『吼えろ鉄拳』鈴木則文監督、1981)
『フラッド』(ミカエル・サロモン監督、1998)
『アイス・ロード』ジョナサン・ヘンズリー監督、2021)
激動の昭和史 沖縄決戦岡本喜八監督、1971)
『TUBE チューブ 死の脱出』(マチュー・テュリ監督、2020)

『東京-ソウル-バンコック 実録麻薬地帯』中島貞夫監督、1972)
『毒戦 BELIEVER』(イ・ヘヨン監督、2018)
『viewers: 1』(針谷大吾、小林洋介監督、2020) ※短篇
『On S'Embrasse?(原題)(ピエール・オリヴィエ監督、2001) ※短篇
『青い目』(テディ・クックスウェル監督、2019) ※短篇


130


『Adam(原題)フセイン・イフレモフ監督、2016) ※短篇
『レリック』ピーター・ハイアムズ監督、1997)
『華麗なる追跡』鈴木則文監督、1975)
『Away』(ギンツ・ジルバロディス監督、2019)
『宇宙大怪獣ギララ』(二本松嘉瑞監督、1967)

『テロリスト・ゲーム』(デヴィッド・S・ジャクソン監督、1993)
『草原の実験』(アレクサンドル・コット監督、2014)
ヒッチャー(ロバート・ハーモン監督、1986)
『NOPE/ノープ』ジョーダン・ピール監督、2022)◎
『訪問者』白石晃士監督、2022)◎ ※短篇


140


『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』白石晃士監督、2022)◎
『WHO?』白石晃士監督、2022) ※短篇
新シャーロック・ホームズ おかしな弟の大冒険ジーン・ワイルダー監督、1975)
『メアリーの総て』(ハイファ・アル=マンスール監督、2018)
ボディガード牙』(鷹森立一監督、1973)

『最強殺し屋伝説 国岡[完全版]』(阪元裕吾監督、2021)
『スウィング・キッズ』(カン・ヒョンチョル監督、2018)
『ブレット・トレイン』デヴィッド・リーチ監督、2022)◎
『真・鮫島事件』(永江二朗監督、2020)
『13人の命』ロン・ハワード監督、2022)


150


『最後にして最初の人類』ヨハン・ヨハンソン監督、2020)
『女必殺五段拳』(小沢茂弘監督、1976)
『激突! 殺人拳』(小沢茂弘監督、1974)
『殺人拳2』(小沢茂弘監督、1974)
『逆襲! 殺人拳』(小沢茂弘監督、1974)

『宇宙人東京に現る』(島耕二監督、1956)
『直撃地獄拳 大逆転』石井輝男監督、1974)
少林寺拳法鈴木則文監督、1975)
『子連れ殺人拳』山口和彦監督、1976)
『WINDOW』白石晃士監督、2022) ※短篇


160


『若い貴族たち 13階段のマキ』内藤誠脚監督、1975)
『一分間タイムマシン』(デヴォン・エイヴリー監督、2014) ※短篇
ボディガード・牙 必殺三角飛び』(鷹森立一監督、1973)
ガンモハーモニー・コリン監督、1997)
『プロムナイト』(ポール・リンチ監督、1980)

『皇帝のいない八月』山本薩夫監督、1978)
ヒッチコックトリュフォー(ケント・ジョーンズ監督、2015)
蜩ノ記小泉堯史監督、2014)
『ウィラード』(ダニエル・マン監督、1971)
『“それ” がいる森』中田秀夫監督、2022)◎


170


『バッドガイズ』(ピエール・ペリフィル監督、2022)◎
『プロミシング・ヤング・ウーマン』(エメラルド・リリー・フェネル監督、2020)
『世代』アンジェイ・ワイダ監督、1954)
地下水道アンジェイ・ワイダ監督、1956)
灰とダイヤモンドアンジェイ・ワイダ監督、1958)

『レイジング・ファイア』(ベニー・チャン監督、2021)
『映画大好きポンポさん』平尾隆之監督、2020)
『RRR アールアールアール』S・S・ラージャマウリ監督、2021)◎
『ぼくらのよあけ』(黒川智之監督、2022)◎
ボックストロールグラハム・アナブル、アンソニー・スタキ監督、2014)


180


『アンビュランス』マイケル・ベイ監督、2022)
スターフィッシュA.T. ホワイト監督、2018)
アムステルダムデヴィッド・O・ラッセル監督、2022)◎
燃えよデブゴン4/ピックポケット!』サモ・ハン・キンポー監督、1981)
『天気の子』新海誠監督、2019)

『すずめの戸締まり』新海誠監督、2022)◎
キャメラを止めるな!』ミシェル・アザナヴィシウス監督、2022)
『ブラック・フォン』スコット・デリクソン監督、2022)
ゴヤの名画と優しい泥棒』ロジャー・ミッシェル監督、2020)
ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ライアン・クーグラー監督、2022)◎


190


『LA 2017』スティーヴン・スピルバーグ監督、1971) ※TVM
『プリンセス: ルーパー/プリンセス 無限ループ』ペトル・キュービック監督、2020)
『炎の少女チャーリー』( キース・トーマス監督、2022)
『ハッチング ─孵化─』(ハンナ・ベルムホイル監督、2022)
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』(ドン・ホール監督、2022)◎

『355』(サイモン・キンバーグ監督、2022)
『KNIFE』白石晃士監督、2022) ※短篇
MEMORIA メモリア』アピチャッポン・ウィーラセタクン監督、2021)
『ミッション: ポッシブル』キム・ヒョンジュ監督、2021)
『ワーニング その映画を観るな』(キム・ジンウォン監督、2019)


200


『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』(ステファノ・ソリマ監督、2018)
『ブラックアダム』(ジャウム・コレット=セラ監督、2022)◎
『シャドウ・イン・クラウド(ロザンヌ・リャン監督、2020)
『ローグ』(M・J・バセット監督、2020)
ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』スティーブ・コックス監督、2021)◎

『シークレット・マツシタ/怨霊屋敷』(ドリアン・フェルナンデス・モリス監督、2014)
『デモニック』(ニール・プロムガンプ監督、2021)
『スケア・キャンペーン』(コリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズ監督、2016)
『村の秘密』アンドレアス・プロハスカ監督、2015) ※TVM



     ※


【TVアニメ】
『Sonny Boy』夏目真悟監督、2021)※全12話
『映像研には手を出すな!』湯浅政明監督、2020)※全12話
ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉』(高橋敦史監督、2021)※全12話
ルパン三世 PART6』富沢信雄〈第0話〉菅沼栄治〈第1~24話〉監督、2021-2022)※全25話
ルパン三世 PART4友永和秀総監督、矢野雄一郎監督、2015)※全26話

ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ』(青木純監督、2022)※全12話
『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』(小野ハナ監督、2022)※全12話
チェンソーマン』(中山竜監督、2022)※全12話


     ※


OVA
ルパン三世 ルパンは今も燃えているか?』川越淳監督、2018)


     ※


【OV】
『心霊〜パンデミック〜』(小笠原敬(森澤透馬) 、佐々木勝己監督、2015)
『心霊〜パンデミック〜 フェイズ2』(小笠原敬(森澤透馬) 、佐々木勝己監督、2015)


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【ドラマ】
『心霊マスターテープ』寺内康太郎監督、2020)※全6話
『心霊マスターテープ2 ~念写~』寺内康太郎監督、2020)※全6話
『トゥルース・シーカーズ-俺たち、パラノーマル解決隊-』(ジム・フィールド・スミス監督、2020)※全8話
『何かおかしい』太田勇、及川博則、山口将幸演出、2022)※全6話
『フェイクドキュメンタリー「Q」(皆口大地、寺内康太郎、福井鶴、遠藤香代子、2021-2022)※全12話

『心霊マスターテープ -EYE-』(谷口猛監督、2022)※全6話
『フェイクドキュメンタリー「Q」Ex. フィルムインンフェルノ』(皆口大地、寺内康太郎、福井鶴、遠藤香代子、2022)
『この動画は再生できません』(谷口恒平監督、2022)※全4話


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【ドキュメンタリー番組】
『さようなら全てのエヴァンゲリオン庵野秀明の1214日~』久保田暁撮影・ディレクター、2021)Amazon Prime Video 配信版


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*1:YouTube「オカルトエンタメ大学」チャンネル『【急展開】『杉沢村伝説』の田川幹太監督がホラードキュメンタリーを急遽制作することになって・・・。』内の企画作品。

2022 12月感想(短)まとめ+11-12月 ひとこと超短評集

2022年12月に、ちょこまかとtwitterにて書いていた短い映画感想の備忘録(一部加筆修正)と、11月以降に劇場で観たにもかかわらず、とくにこれといった理由もなく書きそびれていた作品群の、ひとこと超短評集です。


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【劇 場】
◆前作から10年後、ふたたび人類による略奪が開始された惑星パンドラで、原住民 ”ナヴィ” に帰化して森の民を導いてきたジェイクだったが、人類の狙いが自分だと悟った彼は、家族とともに遠く離れた海の民のもとに身を寄せる第2作アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』ジェームズ・キャメロン監督、2022)は、3時間を越す長尺を見せきる映像は驚異的ないっぽう……といった1作だった(2D字幕通常上映版 *1を鑑賞)。


なにを置いても本作の見どころは、その映像だろう。これは映像の美しさや迫力も然ることながら、特筆すべきは前作から10余年の発展を経たVFXだからこそ描出できたであろう驚異的な “自然さ” だ。

パンドラに暮らすナヴィたちの肌や髪、着込んだ衣服に用いる生活用品や武具、また本作の主な舞台である海の民たちが共生する大小さまざまな海棲生物たちの実在感はもちろんのこと、それらが全篇に渡って戯れる豊潤で精緻で隙のない ”水” の自然さには舌を巻く。間違いなく実写ではない映像であることは理解しているにも関わらず、しかしあきらかに実写映像にしか見えない驚異的な自然さは、ほとんど海洋ドキュメンタリー映像を観ているような感覚に陥るに違いない。

本作のVFXは、ILM とWETA が中心となって作り上げたようだが、いったいどれだけの技術的、時間的、金的、人的リソースをさけばこんな映像が完成するのだろうと驚嘆することしきりである。数ある「特撮」的な映像のなかでも、本作は現時点での最高峰──そして最長──のひとつと言っても過言ではあるまい。ほんとに脳がバグる。


ただ、それが映画としての面白さに100パーセント直結しているかといえば、そうでもないのが本作のもったいないところだ。脚本の構築不足なのか、それとも編集の時点でそうなったのかはともかく、本作には些末というにはあまりに雑な展開がそこかしこにあるからだ。

たとえば、ジェイクとネイティリの子供たち──長男ネテヤム、次男ロアク、長女トゥクと養女キリ──が海の民の子供たちと触れ合うシーンにおいて展開の繋ぎ方が情緒的にバラバラだったり(あと、ちょっとはキリを探してあげて)、とあるキャラクターに発露しつつある “設定” の布石が絶妙に曖昧だったり、クライマックスにおいてみんな文字どおり急にどこかへ行ったり、見せ場のためだけに同じ展開が2度繰り返されたり──これにはさすがにセルフツッコミが入る始末──と、本作の作劇は決してスマートとは言い難い。この点はキャメロン作品史上でも、いちばんの雑さかもしれない。

もちろん、もしかするとこれらのことは来たるべきパート3 や、あるいは本作のディレクターズ・カット長尺版の存在──たぶん出るのじゃないかしらん──への布石かもしれないが、時間的余裕はじゅうぶん以上にある本作において、もっとやりようはなかったのか、という疑念は拭い切れない。およそのことは、もうちょっと編集を整理すればなんとでもなったはずだ。


ことほど左様に本作は、その長所と短所がスクリーンに映される映像と同様にクッキリハッキリと──ある意味では──明瞭だ。これらのことから、本作から受けた印象をあえて惹句に沿ってまとめるなら「目は奪われるが、心までは……」といったところだろうか。少なくとも、本作が全篇に渡って映し出す、圧倒的に自然な映像を隅々まで楽しむために映画館へ出かけてみるのも、きっと年末年始の一興となるはずだ。あと余談ながら、いちばんビックリしたのは、とあるキャラクターのキャスティングです *2


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【なんとなく書きそびれていた劇場鑑賞作品の超短評(11-12月)】
◆第1次大戦中に戦地で出会ったバートとハロルド、そしてヴァレリーがやがて数奇な運命に呑まれてゆくアムステルダムデヴィッド・O・ラッセル監督、2022)は、とある史実をもとにした古典的なフィルム・ノワール的な物語が展開されるが、決して単なるノスタルジィだけに留まらないところが素晴らしい。展開のそこかしこ、あるいは描写のそこかしこに非常に現代的な視点や演出が持ち込まれており、これによって多くの観客が第1印象に持つだろう古めかしさを払拭し、かつフレッシュな味わいと今日性を持たせている。まさしく “いま” 作られ観られるべき作品だ。名優たちのアンサンブルも見事にきまっている。惜しむらくは、ラストの種明かしからエピローグまでが説明過多なこと。もっとサッとテンポよく畳めば、なお印象的な作品となっただろう。


     ○


◆ティ・チャラの急逝によってワカンダ王国全土が哀しみに暮れるなか、海底のタロカン帝国による侵攻が迫るブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ライアン・クーグラー監督、2022)は、新生ブラックパンサーの佇まいをはじめ、登場するワカンダ王国やタロカン帝国の各種文化を彩るプロダクション・デザインの数々は相変わらず素晴らしいし、惜しくも急逝したチャドウィック・ボーズマン=ティ・チャラ/ブラックパンサーからレティーシャ・ライト演じる妹シュリへの継承を描く物語も感動的だ。なのだけども、MCU(マーヴェル・シネマティック・ユニバース)長期化計画のあきらかな弊害として、本作でもこなすべき物語的ノルマが多すぎるのは気になった。コイツも出してソイツもメインでアイツも呼んで……と枝葉ばかりが充実したぶん、本作のメインプロットの印象が胡散霧消してはいまいか。そういうのはエンドクレジット後のオマケにちょろっとやるくらいがちょうどいいって。


     ○


◆海外勢力による圧政に苦しむ現代カーンダックに復活した英雄ブラックアダムを巡って闘いが巻き起こる『ブラックアダム』(ジャウム・コレット=セラ監督、2022)は、ブラックアダムを演じたザ・ロックことドウェイン・ジョンソン念願の企画ということもあって──ゆえに本作で打ち切られるのはとても残念──非常に力こぶの入った作品だった。ジョンソンゆえの画の説得力と無双の快感はもちろんのこと、ゲストで登場するJSAヒーローズの個性豊かな魅せ方も面白いし、本作でブラックアダムが最終的に着地する物語的結論は今日のスーパーヒーロー映画として大納得のものだ。また、なぜそうしたのかは皆目見当もつかないのだけど、迂遠極まりない『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズへのオマージュ *3にも笑った。ただ──これは単に僕の好みもあろうけれど──アクションの見せ場がジョンソンの筋肉もかくやに盛り盛りなので、もうちょっと数を減らしてもよかったのではないかしらん(終盤息切れしちゃった。僕も歳を取ったということなのかしらん。ゼェハァ……)。


     ○


◆クリスマスの日、牧場で目にしたサンタを追いかけていなくなったティミーを探してショーンたちが町に繰り出すひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』スティーブ・コックス監督、2021)は、さすがアードマン・スタジオの高品質なクレイ・アニメーションが短い上映時間のなかにギュッと圧縮されている。本作は、まずTV版第2シリーズ(2009)から冬エピソードを3話抜粋し、続けて新作中編を上映するという構成だが、10年間の技術的進化を一足飛びに体験でき、これもまた目を見張る驚きに満ちている。ショーンやティミーたちの一挙手一投足に笑い、アクション・シーンの見事な構築と迫力とジョークにこれまた笑って、物語のちょっとした大団円にニッコリする。年忘れにぴったりの作品だった。


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【TVアニメ】
藤本タツキによる同名漫画をアニメ化したチェンソーマン』(中山竜監督、2022)は、精緻な作画──印象的なのは動きに伴う衣服の皺の凝りよう──と、なにより漫画的な大仰さではなくグッと抑制の効かせた演出──未来の悪魔との邂逅シーンなど顕著──を全篇に徹底していて、とてもよかった *4。ぜひとも続けてほしい。


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*1:画面比率について備忘録的に記録しておくと、3D通常上映版とI-MAX(3Dハイフレーム・レート)上映版はそれぞれ同様に 1: 1.85(珍しいこともあるもんだ)、2D通常上映版は上下をトリミングした 1: 2.39 ということらしい(https://www.imdb.com/title/tt1630029/technical?ref_=tt_spec_sm 参照)。

*2:キリ役が、シガーニー・ウィーバーだったこと。ほぼ前情報なしで観たので、クレジットが出たとき本当に驚いた。パフォーマンス・キャプチャならではのキャスティングだろう。

*3:見知らぬ人の車に掴まってスケボー移動したり、家のテレビにイーストウッドの西部劇──本作では『続・夕陽のガンマン』──が映っている。

*4:またOP映像で、皆が劇場で見ている体(てい)で挟まれる映画パロディ・カットで、シネマスコープはもちろん、『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』『女優霊』の箇所を単にワイド(1: 1.78)でなくアメリカン・ビスタ(1: 1.85)を採用──だから画面の上下に微妙にレターボックスが見える──しているのに感動した。